そとちゃん
2025年11月14日
闘病生活が続く日のお昼。
突然そとちゃんが荒い口呼吸をはじめた。
少しショッキングな映像なので折りたたみ
その時が来たか、と思った。
(病院の先生からこういった症状が出ると危険だと聞いていた)
ある程度覚悟はしていたが、
1人だとおかしくなりそうだったのですぐに病院へ。
病院に着く頃には呼吸が少し落ち着いており、
検査してもらったが酸素飽和度に問題がないので苦しんではいないようだった。
呼吸が乱れた原因が腫瘍によるものか分子標的薬の副作用かはもうわからないので、
ひとまず投薬や給餌は中止、点滴のみやろうということになった。
入院の選択肢もあったがこの日は一旦帰宅。
帰宅すると急に動き出すそとちゃん。

さっきまでぐったりしていたのが嘘みたいに、
家の中を動き回る。

今思えば、これがエンジェルタイムというものだったのだろう。
そとちゃんは夜までこちらが心配になるくらい活発に動き回った。
ふらつきながら、でも力強く、
自分のナワバリをしっかりと調べていた。
夜になるとすこし落ち着いたが、
また少し呼吸が荒くなってしまった。
少しショッキングな映像なので折りたたみ
たくさん撫でると少し呼吸も楽になって、
お気に入りのベッドで安心した様子。
「また明日元気になってたくさん遊ぼうね、おやすみ」
日付がまわった朝2時半、そとちゃんに語りかけて俺は眠りについた。

2025年11月15日
次の日の早朝5時。
休日で普段ならまだ寝ているのに、
この日はやけに早く目が覚めた。
二度寝前に台所で水を一杯飲み、
そとちゃんの様子を確認する。
寝ているところに近づくとすぐ起きてしまうそとちゃんだが、
この日は目覚めることがなかった。

涙がとまらなかった。
たくさん感謝の言葉をかけた。
謝罪の気持ちもあったけど、それよりも感謝を伝えたかった。

少し落ち着いてから、
正式な診断とその後の処置をしてもらうためにいつもの病院へ。
早朝だったのでいつもと違う先生、看護師さんだったが、
とても優しい言葉をかけていただいた。
「最後まで本当に素敵なねこちゃんでしたね、がんばりましたね」
そういった言葉でそとちゃんと自分をたくさん褒めてもらった。
その度に涙が出た。
自分を責めることがないように言葉を選んでくれたのだとは思うが、
ただただ嬉しかった。
亡くなる瞬間に立ち会えなかったのでこれは本当なのか先生の優しい嘘かはわからないが、
状況から窒息ではなく体の機能がすーっと止まったような形で、
最後も苦しまずに逝けたのではないか、とのことだった。
それなら安心だし、そうであってほしい。
2025年11月15日 朝5時 推定9歳6ヶ月
そとちゃんは短い一生を生き切った。
お別れ
その後、
たくさんの友人が手を合わせに来てくれた。
たくさんの優しい言葉をいただいた。
そとちゃんは本当に愛されていたんだな。
そう実感するたびに涙が出た。

本当はそとちゃんの身体もずっとこのまま残しておきたかったが、
腐ってしまうのはかわいそうなので火葬することにした。
小さな、本当に小さなお葬式をした。

最後は体重2.3kgしかなかったが、元気な時でも最大4kgだったそとちゃん。
棺も最小サイズだった。
そとちゃんを炉に入れる直前はもう、
涙どころか鼻水もよだれも止まらなかった。
あんなに人前で取り乱したことはないんじゃないかというくらい、
どうしようもなくなってしまった。
たくさん喚いて少し落ち着いたころ、
そとちゃんのお骨が返ってきた。
頭以外は健康そのものだったので状態は良く、
立派な骨になって返ってきた。
骨になってもかわいいなんて、
やっぱりそとちゃんはすごいねこだ。
あまり大っぴらに見せるものでもないので折りたたみ


式場の方にも優しい言葉をかけていただき再び号泣。
本当に泣いてばかりだった。

お骨は埋葬せず、
しばらくは家で一緒にいることにした。

ふるさと
お葬式を終えてしばらく経ち、年も明けたころ。
そとちゃんを保護してくださった群馬の保護主さんのところを尋ねた。

保護主さんとお会いするのはそとちゃんがうちに来た日以来で、
たくさんお話をさせていただいた。
信じてそとちゃんを託してくれたのに長生きさせてあげられなかった、
謝罪の気持ちを伝えたかったが、
それよりも先にたくさんの優しい言葉をいただいた。
言葉の一つ一つが本当に嬉しかった。

そとちゃんの後輩となる保護猫ちゃんたちとも遊ばせてもらった。
ねこちゃんに触れるのも数ヶ月ぶりだったので、
久しぶりに暖かい気持ちになれた。
カフェで素敵な時間を過ごした後、
そとちゃんが保護された場所を訪問した。

本当に静かで、のんびりとした場所だった。
こういうところで生まれ育ったからあんなに優しいねこになったのかな、
なんて考えたりした。
そとちゃんはこの場所で、産気づいた状態で保護された。
そとちゃんの子かはよくわかっていないが、保護される前は別の複数の子猫と一緒にいたところも目撃されていたらしい。
(その後保護主さんのところで2匹出産している)
そとちゃんはもういないけど、
そとちゃんの生きた証はこの世界に残っている。
そう考えると嬉しいし、少し寂しさが薄れた気がした。
ありがとう
そとちゃんがうちに来てくれてからの6年半、
本当に幸せな毎日だった。
結局一度も「シャーッ」「フーッ」と怒ることのなかった、心のやさしいねこだった。
おもちゃ遊びは好きだけど、
それよりもごろごろするのが好きだった。

イタズラなんてほとんどしないおりこうさんで、
人間よりも家をきれいに使ってくれた。
一緒にいるとたのしくてあたたかくて、
とにかく笑顔にさせてくれた。
今もスマホのカメラロールを辿ればそとちゃんの姿がたくさん残っていて、
一緒に過ごした日々を思い出して幸せな気持ちになれる。
うちに来てくれてありがとう。
ごはんの好き嫌いはあったけど、
おいしそうにおやつを食べてくれてありがとう。
ひざに乗ってくれてありがとう。
一度乗ると全然動かないから脚がしびれたけど、幸せだった。
撫でさせてくれてありがとう。
ブラシが嫌いなのに毛並みはいつもきれいだった。
たくさんおしゃべりしてくれてありがとう。
俺はねこの言葉がわからないしそとちゃんも人間の言葉がわからないけど、
毎朝2人でおしゃべりするのがたのしかった。
自慢の長いしっぽを揺らしてくれてありがとう。
ピンクの肉球を触らせてくれてありがとう。
最後まで喉を鳴らしてくれてありがとう。
初めて一緒に暮らしたねこがそとちゃんで本当によかった。
世界一の最高のねこでした。
